隠れた名曲!?Echo(エコー)
チェンバロを始めて、かれこれ13年になるでしょうか。
練習するにも、先ずは楽器がないと始まらないと思い、
久保田チェンバロ工房に製作をお願いしたのが2003年。
チェンバロが私の元に来て、一番最初に弾いた曲は、 J.S.バッハの「フランス風序曲」とも言われるパルティータ ロ短調のEcho(エコー) でした。
遡ること小学2年の頃、テレビから流れたトッカータとフーガ二短調を聴いて感動し、
それ以来バッハの虜になりました。 どうしてもバッハの曲を自分でも弾きたくて、買ってもらった楽譜がバッハのエコーでした。 全音ピアノピースという楽譜で、値段は50円でした。 当時の私は、エコーをピアノの小品だと思っていましたし、もちろんピアノで練習していました。
このエコーが、パルティータ ロ短調の終曲であることや、
チェンバロの曲であるということを知ったのは、
ずいぶんあとになってからです。
パルティータ とは、
アルマンド、クーラント、サラバンド、ジーグといった舞曲を基本構成としていますが、
冒頭には、プレリュード、シンフォニア、序曲、幻想曲、トッカータといった曲を用いたり、
曲中にも、舞曲でないスケルツォ、カプリッチョ、アリアなどの曲を含むなど、
自由な構成で作られた壮大な作品をいいます。
バッハのパルティータといえば、まず「6つのパルティータ」とよばれるBWV825~830があり、
今回のロ短調のパルティータBWV831と、他にBWV832、BWV833のパルティータがあります。
エコーは、こだまとか、山彦と訳しますが、 バッハのパルティータにエコーが含まれるのは、このロ短調だけです。
パルティータ ロ短調は終曲であるエコーを聴かせるが為に、
前の曲があると言っても良いほどの作品だと思います。
個人的には「6つのパルティータ」よりもロ短調のパルティータの方が好きです。
ロ短調のパルティータを含んだ「7つのパルティータ」とならなかったのは、
私にとって釈然としませんが・・・。
壮麗で典雅なフランス風序曲に続く各曲は、 何度か聴いたら次の楽曲が頭に浮かぶようになるほど、
素敵な旋律の連続性を持っているように思います。 終曲のエコーは、二段鍵盤のチェンバロのために作られたと言われていて、
二段鍵盤の機能をいかし、強弱の対比と交替(ここがエコーですね)が
聴かせどころの名曲です。
この曲が弾きたいが為に、私は迷わず二段鍵盤のチェンバロを選びました。
youtube から、パルティータ ロ短調 エコー
youtube から、パルティータ ロ短調 全曲 演奏 Scott Ross